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「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2007」調査 2007年9月25日

「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2007」調査

東京大学社会科学研究所が、07年1〜3月に実施した全国調査(回答者4800人)に基づき、格差意識・将来に対する希望・職場環境と健康格差・ワークライフバランス・結婚と交際について分析を行った結果が公表されました。なかなかおもしろい結果ですので抜粋してみました。

<概要>

・「非大卒」「非典型雇用」で所得格差意識が強い
・学歴やパートナー(配偶者・交際相手)の有無が将来の希望と関連している
・職場環境の悪さが、主観的健康度の悪さ・ゆううつ症状と関連している(健康格差)
・ワークライフバランスは、家事参加や精神的な健康を促進し、仕事や生活の満足度を高める
・結婚相手との出会いは「友人の紹介」「職場」が多数。しかし、異性と生涯一度も交際したことのない人も30代後半で1割程度存在。

「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2007」調査結果 サマリー

■研究目的
 労働市場の構造変動、急激な少子高齢化、グローバル化の進展などにともない、日本社会における
就業、結婚、家族、教育、意識、ライフスタイルのあり方は大きく変化を遂げようとしている。日本社会がどのような方向に進むのかを考える上で、現在生じている変化がどのような原因によるものなのか、あるいはどこが変化してどこが変化していないのかを明確にすることはきわめて重要である。
 本プロジェクトは、こうした問題をパネル(追跡)調査の手法を用いることによって、実証的に解明することを研究課題とする。このため社会科学研究所では、若年パネル調査、壮年パネル調査、高卒パネル調査の3つのパネル調査を実施している。
 今回発表する調査結果は、上記3つの調査のうち、2007 年に実施した「若年パネル調査」「壮年パネル調査」に関するものである。同調査は今後も毎年継続して実施する予定である(2011 年まで)。

3.研究成果

3.1. 格差意識

 近年、格差社会に対する関心が高まりを見せているが、社会の中でどのような人が格差を強く感じているのだろうか。また、格差があるといわれる中でも将来に希望を見出すことのできる人はどのような人なのだろうか。今回実施した「働き方とライフスタイルの変化に関する調査」を通じて、以下の点が明らかになった。
 格差意識について、「非大卒である」「現職が非典型雇用である」といった要因が、所得格差に対する肯定的な見方を強めている。高い所得を得るための機会が相対的に少ないと考えられる人々の間で、所得格差に対する意識が強いと言えよう。

 図1・2は、誰が格差意識を強く感じているかを示す「格差意識マップ」である。棒グラフが高いほど、格差意識を強く感じていることを示す。(図1・図2)
 この「格差意識マップ」を見ても、上記の2要因にあてはまらない「大卒・典型雇用」では格差意識のポイントが低くなっていることがわかる。相対的に高い所得を保障されている「大卒・典型雇用」は、格差意識が弱い。
 なお、男性で最も格差意識を強く感じているのは「20 代・交際相手なし・大卒・非典型雇用」で82.1 ポイント、女性で最も格差意識を強く感じているのは「30 代・交際相手あり・非大卒・非典型雇用」で87.5 ポイントである。

3.2. 将来に対する希望

 将来に対する希望について、「20 代である」「大卒である」「交際相手もしくは配偶者がいる」といった要因が、将来の仕事や生活に対する希望を高めている。若さという年齢要因だけでなく、学歴といった社会的地位や、交際相手・配偶者といったパートナーの存在が希望をもたらしている。希望は、個人的な感情ではあるが、その人を取り巻く社会的環境によって形成される面もあることを示している。

図3・4は、誰が将来に対する希望を強く抱いているかを示す「希望マップ」である。棒グラフが高いほど、将来に対する希望を強く抱いていることを示す。(図3・図4)
この「希望マップ」を見ると、20 代・30 代のいずれの場合も「交際相手なし」の人々の間で希望のポイントが低くなっていることがわかる。
 将来に対する希望が最も高いのは、男性の場合20 代・大卒・非典型雇用・交際相手ありの人であった(84.1 ポイント)。このカテゴリーには、正社員・職員への移行や独立を目指して一時的に非典型雇用に就いている、いわばキャリアの過渡期にいる人が多い。具体的には、正規の学校教員を目指して非常勤教員をしていたり、学卒後正社員になったものの辞職して別の正社員や独立を目指している人である。明確なキャリア展望が希望をもたらしているようにも見える。女性で最も希望が高いのは、20 代・大卒・非典型雇用・配偶者ありの人で79.5 ポイントである。

3.1.および3.2.の注

?格差意識・将来に対する希望は、以下の質問によって調査した。
格差意識:「日本社会に関する以下のような意見について、あなたはどう思いますか。もっとも近いと思う番号1つに○をつけてください(そう思う・どちらかといえばそう思う・どちらともいえない・どちらかといえばそう思わない・そう思わない・わからない)」
将来に対する希望:「あなたは、将来の自分の仕事や生活に希望がありますか(大いに希望がある・希
望がある・どちらともいえない・あまり希望がない・まったく希望がない)」

?以下の基準により人々を分類して、それぞれのカテゴリーの格差意識・将来に対する希望のポイン
トを見た。カテゴリーが10 人に満たない場合、分析から除外した。
※ 性:「男性・女性」学歴:「大卒・非大卒」 在学中の学生は分析から除外した。非大卒とは、短大・専門学校・高校などを卒業したものを言う。
交際・婚姻関係:「交際相手なし・交際相手あり・配偶者あり」
雇用:「典型雇用・非典型雇用」 非典型雇用とはパート・アルバイト・契約・臨時・嘱託・派遣・請負などの形態で雇用されているものを示す

?格差意識・将来に対するポイントの算出方法
回答を以下のように得点化し、各カテゴリーごとの平均点を算出した。
格差意識:そう思う(100 点)・どちらかといえばそう思う(75 点)・どちらともいえない(50 点)・どちらかといえばそう思わない(25 点)・そう思わない(0 点)・わからない(分析から除外)
将来に対する希望:大いに希望がある(100 点)・希望がある(75 点)・どちらともいえない(50 点)・あまり希望がない(25 点)・まったく希望がない(0 点)

3.3. 職場環境と健康(健康格差)
 健康の問題についての世間の関心は高いが、疫学的観点(遺伝や体質)や生活習慣(喫煙、飲酒)
といった個人の観点から論じることが多い。しかし、健康問題は社会・経済的な格差とも大きく関連している。今回実施した「働き方とライフスタイルの変化に関する調査」では、職場の社会的な環境が健康とどのようにかかわっているのかについて検討した。
 健康状態に関する質問としては、総合的な健康度を測る「主観的健康観」(自分の健康状態について
「良い」「普通」「悪い」と思っているか)、物理的な健康状態の指標である「活動制限」(健康上の理由で家事や仕事などの活動が制限されたことがあったか)、精神的な健康状態の指標である「ゆううつ症状」(どうにもならないくらい気分が落ち込んだり、落ち込んでゆううつな気分であったか)という3つを取り上げた。
 職場環境としては、「残業の頻度」(ほぼ毎日残業している)、「社員数の恒常的不足」(社員数が恒常
的に不足している)、「納期に追われる」(いつも納期に追われている)、「互いに助け合う雰囲気」(互
いに助け合う雰囲気がある)、「先輩が後輩を指導する雰囲気」(先輩が後輩を指導する雰囲気がある)、
 「仕事のペースの裁量」(自分の仕事のペースを自分で決めたり変えたりすることができる)、「職業能
力向上の機会」(仕事を通じて職業能力を高める機会がある)という7つの質問を取り上げた。
 自分の健康状態が悪い回答者(主観的健康観)は、残業が多く、社員が恒常的に不足しており、納期に追われている職場でより多くみられる。「仕事のペースの裁量」がなく、「仕事を通した職業能力向上の機会」がない場合も多く見られる。他方、職場で互いに助け合う雰囲気があり、先輩が後輩を指導する雰囲気のある場合には、主観的健康状態が良い傾向にある。(図5)
 ゆううつ症状に関してみると、残業が多いこと、社員が不足していること、納期に追われていることは、ゆううつ症状の発症の誘因となることがわかる。他方、互いに助け合う雰囲気があり、先輩が後輩を指導する雰囲気のある職場は、ゆううつ傾向が低く、「仕事のペースの裁量」があり「職業能力向上の機会」がある場合もゆううつ傾向が低くなっている。(図6)
 分析は現在働いている人に限ったので、「活動制限」については働くことができる人々が対象となったこともあり、職場の環境との有意な関連は限られている。しかし、職場で互いに助け合う雰囲気があり、先輩が後輩を指導する雰囲気のある場合には、健康上の支障があったときにも活動の制限がされにくいことがわかる。(図7)
 ひとびとの肉体的・精神的健康状態は、体質や生活習慣といった個人の特性にだけ影響を受けるのではなく、働くひとびとのおかれている職場環境の格差が、健康における不平等と関連している。格差問題というと、所得などの経済的な資源に焦点が当たりがちだが、職場の社会的な環境という点からの格差も重要な問題である。

3.4. 豊かな生き方・働き方をもたらすワークライフバランス

 仕事と生活との調和は、ワークライフバランスという概念で語られ、現在注目を集めている。その背景には、少子化や高齢化などの時代状況のもとで、柔軟な働き方をすることや、家庭と仕事とを両立することが重要と認められるようになったことがある。ワークライフバランスはいろいろな好ましい状態をもたらすであろうとしばしば語られる。例えば、ワークライフバランスがとれれば家庭にいる時間が多くなり家事参加が促進される、ワークライフバランスは労働時間を適度に抑えることによって健康状態を改善する、ワークライフバランスが実現できれば満足感は高まる、などがそれである。
 そこで、それらの言説が妥当かどうか、東京大学社会科学研究所がこのたび実施した「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」のデータに基づいて検討してみた。
 ワークライフバランスがとれた職場にいる回答者は、さまざまな家事を行う頻度がより高い傾向にある。「食事の用意」、「洗濯」、「掃除」、「日用品・食料品の買い物」の4 種類の行動それぞれについて、週1 回以上行うとしたものの比率をグラフ化した(図8)。それによると、男性では4 ポイント、女性では11 ポイントほど、ワークライフバランスのとれた職場にいる者のほうが家事をする比率が平均的に高いことがわかる。
 ワークライフバランスは健康とも関連がある(図9)。ワークライフバランスがとれた職場にいる回答者のほうが、特に精神的に健康である。最近1 ヶ月間に、「かなり神経質になった」「どうにもならないくらい落ち込んだ」、「憂鬱な気分になった」と回答した比率を比べると、ワークライフバランスがとれた職場にいる者のほうがいずれも比率は低い。また、自身の健康状態を「不健康」と回答した比率についても、男性においては、やはりワークライフバランスがとれた職場にいる回答者のほうが低い。
 これらのこともあってか、ワークライフバランスは満足度を高める。「仕事」、「結婚生活」、「友人関係」、「生活全般」それぞれについての満足度の違いをグラフ化した(図10)。すると、いずれの項目においても、ワークライフバランスがとれた職場で働く者のほうがより満足している傾向がみられる。
 ワークライフバランスがとれている職場環境は、より積極的な家事参加、精神的な健康を促進しやすいことがうかがえる。そして、ワークライフバランスが仕事、家庭を含めて総合的に満足度を高めるため、公私共に充実した生活に結びつくことが推察される。しばしば語られる「労働者に対するワークライフバランスの良好な影響」は、データからも一貫して裏付けられたと強調できる。

3.5. 現代若年層の結婚・交際

 未婚化・晩婚化は現在、深刻に受けとめられる社会問題となっている。東京大学社会科学研究所が実施した「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」データから、結婚だけでなく未婚者の男女交際まで含めて、その実態を探った。
 男性の特徴は、結婚率が直線的に高くなっていくことである(図11)。20 代前半では結婚している者の割合は5%ほどであるが、30 代後半の年代ではおよそ7 割に達する。未婚者の中の、交際中、過去に交際経験あり、交際経験なし、の構成割合はほぼ一定のまま推移している。30 代後半で、それまで一度も交際経験がない者の比率は1 割ほどになる。
 女性は、男性より結婚が早く、交際をしやすい傾向がみられる(図12)。これは、平均的には、女性は自分より年長の男性と交際・結婚する傾向があることを反映した結果といえる。注目するべきは、30 代半ばまでは結婚率が急激に上昇していくが、その後はわずかしか上昇しないことである。30代後半になると、女性の結婚はやや頭打ちになっていくことを物語っているのかもしれない。
 この10 年以内に結婚した人について、結婚時年齢別に結婚相手と出会ったきっかけの比率をグラフ化した(図13)。それによれば、大まかにみればきっかけの分布は似ているものの、細部ではいくつか違いがみられる。年代間で相対的に比較すると、24 歳以下での結婚相手は学校やアルバイト先での出会いが多く、職場での出会いは少ない。逆に30 代以上で結婚した者の場合、職場での出会いのほか、家族・親族の紹介、お見合い、結婚相談所などが相対的には多くなっている。だが全体的には、友人の紹介、職場での出会いという2 つの理由で大部分が占められていることがわかる。
 続いて、現在の交際相手との出会いのきっかけを交際開始年齢別に比べてみる(図14)。24 歳以下で交際開始した者は、学校やアルバイト先が多く、職場が少ないというように、パターンは結婚相手との出会いと類似している。しかし、こちらのほうが、より極端に違いが表れている。30 代以上の出会いについては、インターネットやお見合いが相対的に多くみられるのが特徴といえる。全体的にとらえると、学校が主たる出会いの場である20 代前半と、職場が出会いの場となる20 代後半以降とのあいだに大きな断層があるように思われる。ただし、いずれの年代においても、友人の紹介によって交際をはじめる者の割合は安定して多い。
 未婚者のあいだでは、異性と出会うために試みた行動は、交際経験の有無によって異なるのだろうか(図15)。グラフから読み取れるのは、全般にわたって、交際経験がある者のほうが積極的に相手探しのための行動をしていたことである。男女差は、経験がある者のなかでは学校の部活やサークル、同僚や上司に紹介を依頼、インターネットといった方法において男性のほうがよく行ってきたこと、経験がない者のなかでは友人に紹介を依頼、合コンへの参加などの方法は女性の方が行いがちであったことにおいてみられる。
 現代の若年層をとりまく結婚・交際の現状は厳しい。結婚以前に、一度も交際したことのない者も一定程度存在することがわかった。交際経験がない者に着目すると、彼または彼女らがあまり能動的に相手を求めて行動していない様子がうかがえた。交際相手との出会いの多数を占めるのは、友人の紹介、職場、学校であり、他方で結婚相手との出会いは、友人の紹介、職場が多いようであった。友人への紹介依頼をはじめ、いくつか自分自身の意思で行うことのできる出会いの方法は確かに存在する。それゆえ、本人が意欲を持つことが必要条件となるが、結婚・交際の状況を変えることはまったく不可能というわけではないだろう。

結婚年齢と出会いのきっかけ.JPG

全文を読みたい方はこちらから
http://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/panel/youthandmiddle/07PressRelease.pdf

Name avantistaff : 16:59


正社員の不足感が増加しています 2007年9月18日

労働経済動向調査(平成19年8月)結果の概況がでました。

 注目されたのは、新聞報道でもありましたように、正社員・非正社員ともに不足感が増加していますが、特に労働者過不足判断指数D.I.を見ると、正社員の方により不足感があるようです。
 また中途採用に関しては引き続き増加の傾向がみられます。

200708労働者不足判断DI.gif

■労働者の過不足状況

(1) 常用労働者《不足感続く》
8月1日現在の常用労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で27ポイントとなっており、依然として不足超過幅が大きい。

産業別にみると、サービス業で不足超過幅が前期より拡大しているが、運輸業、飲食店,宿泊業では不足超過幅が前期より縮小している。

200708常用労働者の過不足判断.JPG

(2) パートタイム労働者《不足感続く》
8月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で24ポイントとなり、超過幅は前期(26ポイント)よりもやや縮小したものの、依然として不足超過幅が大きい。

産業別にみると、不動産業で不足超過幅が前期より拡大しているが、卸売・小売業、飲食店,宿泊業では不足超過幅が前期より縮小している。

200708パートタイム労働者の過不足判断.JPG

■中途採用《増加している》

 「中途採用あり」とした事業所割合(19年4〜6月期実績)は、調査産業計で63%と前年同期(18年4〜6月期実績)と比べると増加している。
産業別にみると、運輸業、金融・保険業での増加幅が大きい。

200708中途採用の時期別事業所割合.JPG

全文を読みたい方はこちらから・・・

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/0708/kdindex.html

Name avantistaff : 10:00


10/1より募集・採用における求人年齢制限禁止が施行されます 2007年9月10日

雇用対策法の改正にともない、10/1より募集・採用における求人年齢制限禁止が施行されます。
これは、私たち人材紹介事業者はもちろん企業採用担当者も厳守しなければいけない法律です。

 さて、事業者向け(企業人事部向け)のパンフレットがでましたのでご紹介します。
下記のURLよりPDFにてダウンロードできます。

http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/08/dl/tp0831-1a.pdf

なお、原則禁止ではありますが、下記のように「例外的に年齢制限を行うことが認められる場合」もあります。

【1】定年年齢を上限として、当該上限年齢以下の求職者を期間の定めのない雇用契約の対象として募集・採用する場合 
【2】労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合
【3】長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を募集・採用する場合
【4】技能・ノウハウ等の継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定して募集・採用する場合
【5】芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合
【6】60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる者に限定して募集・採用する場合

 具体的にどのような事例がよいのか悪いのかにつきましても、上記PDFにて例がでておりますので、ご参照くださいませ。

Name avantistaff : 09:08


労働白書(平成19年版) ライフワークバランスへの道 2007年9月 3日

第3章 変化する雇用システムと今後の課題

第1節 経済・経営環境と労働条件

■労働生産性の上昇によって賃金上昇と労働時間短縮が実現されてきた

2002年以降、長期の景気回復過程で労働生産性が高まっているものの、単位当たり実質賃金は上昇しておらず、実質賃金の増加の面でも、労働時間短縮の面でも、労働条件に改善がみられないことが懸念される。

■賃金の抑制に伴う国際競争力の高まりと輸出の拡大

我が国企業の価格競争力は、人件費コストの抑制により、国際的にみて相対的に高まっていると考えられるが、いたずらに人件費コストの抑制を図ることは好ましくなく、付加価値創造力を高めることによって、国際競争力を高めていくとともに、雇用者報酬の拡大によって、民間最終消費支出が着実に拡大していくことが期待される。

■大企業の成果配分は配当金、内部留保へ

、2001年以降、特に、大企業において、配当金が大きく増加している。また、内部留保、役員賞与の増加もみられる。輸出主導の需要拡大の下で、企業が生み出す付加価値も増大しているが、大企業においては、利益の拡大と企業の資産価値の維持・拡大が志向され、賃金の支払いに向かう部分はあまり大きくない。

■中小企業は引き続き厳しい事業環境
■資本装備率の停滞などにより中小企業と大企業の労働生産性ギャップは拡大
■事業所規模間の賃金格差が拡大

小規模事業所の賃金は、2006年においても、引き続き減少しており、賃金の規模間格差が拡大している。

第2節 雇用システムと勤労者生活

■賃金カーブの変化と労働関係個別化の動き

 高齢化に伴い、40歳台後半から50歳台の労働者の長期雇用が広がる中で、これらの層の平均的な賃金水準が高められる傾向がみられる。企業に勤続する労働者の蓄積された職業能力が引き続き高く評価されていることが分かる。
 また、労働者への成果配分については、総じてみると長期雇用が引き続き評価されているものの、業績・成果主義的な賃金の広がりなどによって、労働関係は個別化しており、労働者一人一人の業績や成果、また、職業能力などが厳しく評価される傾向が出てきている。

賃金カーブ.JPG

■全体的な賃金抑制の傾向と賃金構造における勤続評価の高まり

長期勤続者に手厚く配分する方向に進んでいる。労働組合への参加を通じて賃金交渉にかかわることができる労働者は、一般的に長期雇用の者が多いと考えられるが、そうした者の賃金上昇は有利な状況にあるものの、その他の労働者に、成果配分が広く均霑していく仕組みが次第に崩れてきていることが危惧される。

■正規雇用と非正規雇用の賃金格差

正規雇用と非正規雇用の賃金構造を比較すると、正規雇用の賃金は、50歳台の前半まで増加する賃金カーブを描いているが、非正規雇用では、年齢が上がっても、賃金上昇はほとんどみられない。

■非正規雇用割合の上昇と人件費の削減

正規雇用と非正規雇用の間には、賃金の格差があり、企業は労働力を確保するにあたって、正規雇用の採用を抑制し、非正規雇用者を増加させることによって、人件費の削減を行ってきた。近年、低下してきた労働分配率について、非正規雇用割合の上昇が与えた影響を推計してみると、非正規雇用割合の上昇は、雇用者報酬を切り下げる要因として強く作用しており、近年の労働分配率の低下をほとんど説明することのできる大きさであることが分かる

第3節 ワークライフバランスと雇用システムの展望

■長期雇用と成果主義の組合せが主流

業績・成果主義的な賃金制度については、今後もその導入が広がっていくと見込まれることから、我が国の雇用システムは、長期雇用と成果主義の組合せが主流となっていくものと考えられる。

■長期雇用のメリット・デメリット

長期雇用は、長期的かつ効率的な教育訓練を可能にするとともに、帰属意識・忠誠心を高めることで、職場や労働時間・職務範囲等に柔軟性を持たせた人材マネジメントを可能とすることから、企業は長期雇用にメリットを感じ、また、これからもそれを維持していこうとしていることがうかがえる。
一方、そのデメリットをみると、高齢化に伴う人件費負担の高まりや職務と能力の間の開きの拡大、景気変動に応じた柔軟な対応ができないこと等が高くなっている(第42図?)。こうしたデメリットへの対応として、非正規雇用の活用や業績・成果主義的な賃金制度の導入が広がってきたと考えられる。

■長期雇用や年功賃金に対する労働者の意識

長期雇用・年功賃金といった我が国の雇用システムの特徴について、近年では、若年層等の一部を除けば、労働者は総じて肯定的にとらえる傾向がみられる。また、労働者にみられる近年のこうした意識の傾向には、非自発的失業者の急激な増加等、1990年代後半以降の雇用情勢の厳しさも反映されていると考えられる。

■労働者は、生活とのバランスのとれた働き方を希望

Name avantistaff : 09:07


 
 
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