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第1章 労働経済の推移と特徴
我が国経済は、2007 年秋に景気後退過程に入り、その後、2008 年秋の世界的な経済減速に端を発した極めて大きい経済収縮により雇用情勢は急速に悪化し、今日においても依然として厳しい状況にある。一方、景気と経済指標の関係から雇用情勢の改善に向けた動きをみると、2009 年前半に生産や所定外労働時間は増加に転じ、次第に雇用情勢の改善へと波及している。 第1 章では、これら経済の動向が雇用、賃金、勤労者家計などに及ぼしてきた影響につい て分析し、景気の着実な回復に向けた今後の課題を整理する。 まず、雇用情勢については、2008 年秋以降、有効求人倍率は大幅に低下し、完全失業率 も大幅に上昇した。完全失業率は2009 年7 月に過去最悪の5.6%まで上昇し、有効求人倍率は8 月に過去最低の0.42 倍となった。雇用指標には、その後、緩やかに持ち直しの動きがみられるものの、依然として厳しい状況にある。 賃金については、特別給与が大きく減少したことなどにより、2009 年の現金給与総額の 減少は統計調査開始以来、最大の減少率となった。また、労働時間については、総実労働時間は2009年平均では前年比2.9% 減と3 年連続の減少となった。 物価については、2008 年に生じた原油や輸入穀物の価格高騰の反動などの影響により、 2009 年の物価は大きく下落した。企業物価については緩やかな上昇に転じたものの、消費者物価は引き続き下落傾向で推移している。また、勤労者家計については、企業の雇用維持の取組や政策効果もあって消費は持ち直しており、消費者心理も改善している。 労使関係については、2010 年の春期労使交渉において、雇用維持と賃金改善に関する議 論が展開されたが、厳しい経済情勢の中、賃上げ結果は額・率とも前年を下回った。なお、 2009 年の労働組合の推定組織率は、1975 年以来34年ぶりに上昇している。
第1節 雇用・失業の動向
我が国経済は2007 年秋に景気後退過程に入り、その後、世界的な景気後退の影響を受けて、2008 年末以降、雇用情勢は急速に悪化することとなった。製造業を中心に非正規労働者の雇止めなどの動きが加速し、非自発的離職者の増加により完全失業者は増加し、有効求人倍率も大きく低下した。特に、若年層においては、完全失業率が他の年齢層に比べ大きく上昇するなど影響は大きかった。2009 年後半からは生産の持ち直しが雇用情勢の改善にも波及しつつあるが、求職活動をあきらめ非労働力化する動きもみられ、回復は力強さを欠いている。また、こうした厳しい雇用情勢の影響は新規学卒者の就職状況にもあらわれてい る。
1)景気循環と労働経済指標 (完全失業率、有効求人倍率ともに過去最悪の水準に) 完全失業率(季節調整値)と求人倍率(季節調整値)の動きを みると、完全失業率は、2008 年10?12月期に4.1%となった後、急激に上昇し、2009 年1?3月期は4.5%、2009 年4?6 月期は5.1%、2009 年7?9 月期は5.4%となった。その後、2009 年10?12 月期に5.2%、2010 年1?3 月期に4.9%と低下しているが、その水準は引き続き高水準であり、依然として厳しい状況にある。なお、2009 年の完全失業率を月次でみると、2009年7月に5.6%まで上昇し、2002 年6月と8 月、2003年4月に記録した5.5%を超え、過去最悪の水準となった。また、2009 年平均では5.1%と、前年より1.1%ポイント上昇した。 有効求人倍率は、2006 年7?9 月期に1.07 倍とピークをつけて以降、2007 年半ばまで概ね横ばい傾向で推移し、その後低下した。2009 年に入っても低下傾向は続き、1?3月期に0.58倍、4?6 月期に0.46 倍、7?9 月期に0.43 倍、10?12 月期に0.43 倍と過去最低の水準まで落ち込んだが、2010 年1?3 月期には0.47 倍となり、持ち直しの動きをみせている。なお、2009 年の有効求人倍率を月次でみると、2009 年8 月に0.42 倍となり、1999 年6 月の0.46 倍を下回る過去最低の水準を記録した。2009 年平均では0.47倍となり、前年より0.41ポイント低下し、1999年平均の0.48倍を下回る過去最低の水準を記録した。

新規求人倍率は、2008 年10?12 月期に1.03 倍となって以降、1 倍を下回っており、2009 年1?3 月期に0.82 倍、4?6 月期に0.77 倍、7?9 月期に0.77 倍と過去最低の水準まで落ち込んだ。その後、2009 年10?12 月期に0.79 倍、2010 年1?3 月期に0.85 倍となり、持ち直しの動きをみせている。また、2009 年平均では0.79 倍となり、前年より0.46 ポイント低下し、1977年平均の0.85倍を下回り過去最低の水準を記録した。 (横ばいで推移する求人数と求職者数) 第1 ?(1)? 2 図により求人数及び求職者数の動きをみると、有効求人数(季節調整値) は2006 年7?9 月期に231 万人とピークをつけて以降減少しており、2009 年1?3 月期は149万人、4?6月期は127万人、7?9 月期は124万人まで落ち込んだが、10?12月期は125万人、2010 年1?3 月期は130 万人となった。また、新規求人数(季節調整値)は2006 年7?9 月期に86 万人とピークをつけて以降減少し、2009 年1?3 月期は55 万人、4?6 月期は51 万人、7?9 月期は51 万人となったが、その後、10?12 月期は52 万人、2010 年1?3 月期は53 万人となった。 求職者数の動きをみると、有効求職者数(季節調整値)は2009 年1?3 月期は255 万人、4?6 月期は276 万人、7?9 月期は288 万人、10?12 月期は288 万人、2010 年1?3 月期は274万人となった。また、新規求職者数(季節調整値)は2009 年1?3 月期は67 万人、4?6 月期は66万人、7?9月期は67万人、10?12月期は66万人、2010年1?3月期は63万人となった。 新規求人数や新規求職者数は悪化に歯止めがかかったものの、その後は、ほぼ横ばいで推移しており、求人倍率の回復も力強さを欠いている。
(景気後退期に低下する実質経済成長率) 経済活動の循環的な変動は景気循環と呼ばれるが、今回の景気後退も含め、我が国では、戦後14 回の景気循環が観察されている。
国内総生産(GDP)は、国内で生み出された財・サービスの付加価値の合計額を表す代表的な経済指標の一つであるが、実質GDP の変化率(実質経済成長率)をみると、景気後退期に伸びが鈍化、あるいはマイナスに転じるといった関係を認めることができる。今回の景気後退過程では、実質経済成長率は、2007 年10?12 月期は0.5%、2008 年1?3 月期は0.3%、4?6月期は? 1.0%、7?9月期は? 1.1%、10?12月期は? 2.5%、2009年1?3月期は? 4.2%と2008 年4?6 月期以降、マイナス成長を続けてきたが、2009 年4?6 月期は1.7%、7?9 月期は0.1%、10?12 月期は1.1%、2010 年1?3 期は1.2%と増加している。こうしたことから、景気は2009年春頃から持ち直しているものと考えられる。 (過去の動きに照らし、2009 年春頃より景気持ち直しの動き)
景気回復過程初期における実質GDP と労働経済指標の動きを みると、一般に、生産など経済活動の回復が次第に労働経済指標へと波及していくという関係がみられる。その中でも特に、完全失業率については一定のタイムラグを伴っている。 1980 年代以降の景気回復過程について、まず、第10 循環の回復過程をみると、この循環 では、GDP は長期の増加傾向の中にあり、景気回復により経済成長のテンポが高まると、 所定外労働時間は景気の谷から1 期目に増加し、有効求人倍率は景気の谷から2 期目に改善した。雇用者数については、GDP の長期的拡大傾向の中で、増加が続いていたが、労働力人口の伸びに比べ雇用機会の拡大は相対的に小さく、完全失業率は、景気の谷以降ほぼ横ばいで推移した。 第11 循環では、景気の谷から1 期目に雇用者数が改善、2 期目に所定外労働時間が増加、3 期目に完全失業率が改善するという動きがみられた。なお、有効求人倍率は、それらより先行して景気の谷から改善した。 第12 循環では、GDP が景気の谷から改善の動きをみせ、景気の谷から2 期目に所定外労働時間の増加と雇用者数の改善の動きがみられた。しかし、有効求人倍率については、景気の谷を経過しても低下し、完全失業率も改善することはなかった。 第13 循環では、GDP が景気の谷から1 期目に改善の動きが、所定外労働時間が景気の谷から2 期目に増加の動きが、雇用者数は5 期目に改善の動きがみられた。有効求人倍率は景気の谷から3 期目に改善したが、景気の回復力は完全失業率の上昇に歯止めをかけるところまでの力しかなく、その後、完全失業率はほぼ横ばいで推移した。 第14 循環では、景気の谷からGDP の改善や所定外労働時間の増加の動きがみられ、雇用者数は景気の谷から2 期目に改善した。有効求人倍率は、景気の谷から1 期目に、完全失業率は6期目に改善の動きがみられた。 以上より、一般に景気回復過程においては、まず生産が回復する中で、労働投入量を増加 させるために所定外労働時間の増加が生じ、その後、さらなる労働投入量の増加として雇用者の増加につながるという関係がみられる。そして、景気の拡張力が充分強い場合には、完全失業率の改善をもたらすことができるが、十分な景気の拡張がみられず完全失業率を改善 させることが出来なかったこともあった。 これに照らし、2008 年以降のGDP と労働経済指標の動きをみると、GDP と所定外労働時 間は2009年1?3月期を底に4?6 月期より増加に転じる動きがみられる。雇用者数は4?6 月 期に大きく減少したものの、7?9 月期には増加がみられた。有効求人倍率は、7?9 月期を 底に横ばい傾向が続いていたが、2010 年1?3 月期には持ち直しの動きがみられた。完全失 業率は2009 年7?9 月期をピークに、10?12 月期より持ち直しの動きがみられる。これらの 動きを踏まえると、現在の労働経済指標の動きは、おおむね一般的な景気回復過程に似た動 きを示しているものと思われる。ただし、前述したとおり今回の景気後退過程においては、 完全失業率をはじめ労働経済指標が大きく悪化した影響もあり、2009 年における改善は必 ずしも力強いものではなく、雇用情勢は依然として厳しい状況にある。今後、景気の持ち直 しを着実な雇用の改善につなげるためには、人材育成、労働力需給調整、雇用支援などの政策対応を一体的、総合的に運営することによって、雇用機会を創造し、就職の促進を図ることが重要である。
(景気の回復と雇用人員判断、雇用調整実施事業所割合の動き) 前述のような労働経済指標に加え、企業の雇用人員判断D.I.や雇用調整実施事業所割合も、景気循環との連動性は強い。第1 ?(1)? 5図により、景気循環における企業の雇用人員判断D.I. の推移をみると、2008 年10?12 月期に4%ポイントと過剰超過に転じて以降、2009 年1?3 月期は20%ポイント、4?6 月期は23%ポイント、7?9 月期は20%ポイント、10?12 月期は16 ポイント、2010 年1?3 月期は13%ポイントと、高い雇用の過剰感が続いており、製造業の雇用過剰感は、全産業と比較しても高い水準で推移している。このように雇用人員判断D.I. は、なお高水準にあるが、景気持ち直しの動きの中で2009 年4?6 月期をピークに次第に低下してきている。

また、第1 ?(1)? 6 図により、雇用調整実施事業所割合の推移をみると、2009 年は、 産業計で1?3 月期に47%、4?6 月期に49%、7?9 月期に45%、10?12 月期に43%、製造 業で1?3 月期に69%、4?6 月期に71%、7?9 月期に61%、10?12 月期に55%と推移して おり、いずれも4?6 月期をピークに低下している。 雇用人員判断D.I.及び雇用調整実施事業所割合の動きを過去の景気循環と比較してみると、どちらの指標も景気回復過程では低下し、景気後退過程に入ると上昇するという動きがみられ、おおむね景気基準日付に一致している。今回の景気循環との関係についていえば、どちらも2009 年4?6 月期に最悪期を迎え、その後、改善しているといえるが、依然として高水準にある。

2)一般経済と雇用失業情勢 (完全失業率は男性を中心に急激に上昇したが、最近は改善の動き) 第1 ?(1)? 7 図により、男女別完全失業率の推移(季節調整値)をみると、2007 年7?9 月期に3.8%となった後、緩やかに上昇を続けていたが、完全失業者の増加により、2009 年1?3 月期に4.5%(男性4.6%、女性4.4%)、4?6 月期に5.1%(男性5.4%、女性4.8%)、7?9 月期に5.4%(男性5.8%、女性5.0%)と急激に上昇し、特に、男性での完全失業率の上昇幅が大きかった。その後、経済情勢の回復が雇用情勢の改善にも波及し、2009 年10?12月期に5.2%(男性5.4%、女性5.0%)、2010 年1?3 月期は4.9%(男性5.3%、女性4.4%)となり、完全失業率は高い水準で推移しているものの改善の動きがみられる。 また、離職の動向を表す指標として、雇用保険の資格喪失者数をみると、2008 年12 月の 45万人から2009 年4 月には121 万人まで急速に増加し、資格喪失者の前年同月比でみても、企業からの離職が2008年末から2009年央までに集中していたことがわかる。なお、その後、資格喪失者は減少傾向で推移している

(完全失業者数は若年の非自発的離職を中心に増加) 完全失業者数は、2009 年に336 万人(前年差71 万人増)と2008 年から大幅に増加した。 第1 ?(1)? 8 図により、完全失業者を求職理由別にみると、2009 年1?3 月期より非自発 的離職失業者が前年同期比でみて大幅に増加し、完全失業者数の増加の大部分は、非自発的失業者の増加が寄与していることがわかる。なお、2009 年10?12 月期には、増加幅が減少したが、依然として非自発的失業の寄与は大きい。 また、第1 ?(1)? 9 図により、景気後退過程における完全失業者数の推移をみると、 1997 年から1999 年にかけての2 年間で完全失業者は87 万人増、2000 年から2002 年にかけて39 万人増となったのに対し、2007 年から2009 年にかけては79 万人増となっている。今回の完全失業者の増加規模は、1997 年から1999 年の景気後退過程に比べれば小さかったが、増加の内訳を非自発的離職失業者に限ってみると、1997 年から1999 年にかけて48 万人増、2000 年から2002 年にかけて49 万人増となったのに対し、2007 年から2009 年にかけては62万人増と、増加幅は最も大きい。さらに、非自発的離職失業者の増加を年齢階級別にみると、25?34歳層で14万人(男性10万人、女性4 万人)増、35?44歳層で16万人(男性11万人、女性5 万人)増と、過去2 回に比べ、その増加幅は大きく、非自発的離職失業者の増加には、これらの若年層、壮年層での影響が大きいことがわかる。また、男女別にみると男性の増加幅が大きい。
(その他の家族で大きく増加した完全失業者) 第1 ?(1)? 10 図により、世帯主との続き柄別に完全失業者の内訳をみると、2009 年は 世帯主で前年差19 万人増、世帯主の配偶者で同11 万人増、その他の家族で同29 万人増、単身世帯で11 万人増と、全ての類型で前年差で増加したが、特に、その他の家族の増加が大きかった。後にみるように、非正規労働者を中心とした雇止めなどの雇用調整の影響は、その他の家族で大きかったものと考えられる。 (雇用者数は製造業で大きく減少) 第1 ?(1)? 11 図により、2009 年の雇用者数の動きを前年同期比でみると、2008 年10? 12 月期に産業計で0.1%減となって以降マイナスが続き、2009 年4?6 月期は1.8%減と大幅に減少した。産業別にみると、製造業、サービス業(他に分類されないもの)、建設業での 減少の寄与が大きかった一方、医療, 福祉では、増加の寄与が大きかった。こうした雇用者 数の減少の背景の一つとしては、2008 年秋以降、派遣労働者を含む非正規労働者の雇止め等を行う事業所の増加がみられたことが考えられる。厚生労働省調べにより非正規労働者の雇止めの状況についてみると、2008 年10 月から2010 年6 月までの間に、約27 万人の非正規労働者が期間満了や中途解除等によって職を失う又は失う予定となっている。雇止め等の対象となった労働者の雇用形態をみると、派遣社員が最も多く約14万9千人、次いで契約(期間工等)が約6 万3 千人、請負が約2 万1千人となっている。雇止め等を行った事業所の産業についてみると、製造業が最も多く約23 万1 千人、次いで卸売・小売業が約1 万2 千人、運輸業が約5千人となっている(付1 ?(1)? 3表)。 また、雇用者数(非農林業)の動きを従業員規模別にみると、2009年は500人以上規模の 大企業で前年差1 万人増と増加する一方、1?29 人で同29 万人減、30?99人で同20万人減、100?499 人で同17 万人減と減少しており、中小企業での雇用減少が大きい
(休業者の増加と雇用調整助成金制度) 休業者数の推移をみると、2008 年12 月以降、前年同月差でみて大きく増加しており、 2008 年末の雇用情勢の急速な悪化を受け、雇用調整による休業者が増加しているものと考えられる(付1 ?(1)? 5 表)。2008 年末以降の休業者数増加の背景として、雇用調整助成金等の制度の活用により、解雇ではなく就業時間調整によって雇用調整を行っている企業が多いことも影響していると考えられる。雇用調整助成金等に係る支給決定状況をみると、2009 年3 月以降対象者数が急増し、2009 年8 月には約265 万人となった
(労働力人口は減少) 第1 ?(1)? 12 図により、労働力人口の推移をみると、1998 年の6793万人をピークに減 少傾向を続けていたが、2005 年から2007 年までは就業者の拡大の影響もあり、年平均で増加した。その後、景気後退に伴う雇用情勢の悪化を受け再び減少し、2009 年には6617 万人(前年差33万人減)となった。 また、労働力人口の変化を、15 歳以上人口の変化、人口の年齢構成の変化、労働力人口比率の変化の3 要因に分解すると、2007 年には団塊の世代が60歳に到達し、労働力人口比率が相対的に低い年齢層の人口が増加したことから、年齢構成変化要因のマイナスの寄与が拡大した。一方、景気の回復にともなう雇用機会の増加により労働力人口比率は上昇し、2005 年から2007 年にかけて労働力人口比率変化要因はプラスに寄与したが、2008 年以降は、景気後退に伴う労働力人口比率変化要因の縮小により、労働力人口は減少に転じた。2009 年は、年齢構成変化要因が引き続きマイナスに寄与している中で、労働力人口比率も低下し、年平均の労働力人口は2年連続でマイナスとなった。

(男性若年層での労働力人口比率の低下) 2009 年の労働力人口比率は59.9%で、前年差0.3%ポイント低下と2 年連続の低下となっ た。第1 ?(1)? 14 図により、労働力人口比率の推移を季節調整値でみると、1997 年の1 ?3 月期をピークに低下傾向が続いていたが、景気の回復に伴う就業者の増加を背景に、 2005 年以降、若干の上昇がみられた。しかし、2007 年央以降は、再び低下している。一方、労働力人口比率の推移を男女別にみると、1997 年以降、男性は長期の低下傾向で推移しているのに対し、女性は2005 年以降緩やかな上昇傾向がみられる。また、2009 年については、男性は1?3 月期に72.4%、4?6 月期に72.1%、7?9 月期に71.9%、10?12 月期に71.7%と大きく落ち込んでいるのに対し、女性は1?3 月期に48.8%、4?6 月期に48.3%、7?9 月期に48.7%、10?12月期に48.4%とほぼ横ばいで推移している。 また、2009 年の労働力人口比率の動きを男女別、年齢階級別にみると、女性は65 歳以上 を除きどの年齢階級でも上昇しており、特に、25?34 歳層では前年差で1.8%ポイント上昇 したが、男性は15?24 歳層の1.7%ポイント低下を中心に全ての年齢階級で低下した。
2009 年の雇用情勢は極めて厳しかったが、男性の若年層を中心に、求職活動をあきらめ 非労働力化するケースが多かったと考えられる。なお、非労働力人口のうち就業希望者の推移をみると、2009 年は男性で126 万人(前年差6 万人増)、女性で345 万人(前年差10 万人増)となり、増加率でみれば男性の方が大きい。また、このうち、求職活動をしない理由として、適当な仕事がありそうにないとする者の数は、男性で47 万人(前年差5 万人増)、女性で116 万人(前年差9 万人増)となっており、男性の増加率は大きい

(失業の長期化に関する動き) 失業期間別に完全失業者の推移をみると、失業期間3 か月未満の完全失業者は、2009 年1?3 月期に前年同期差23 万人、4?6 月期に35 万人、7?9 月期に20 万人、10?12 月期に9 万人と、4?6 月期をピークに増加幅が縮小している。一方、失業期間が3?6 か月未満の完全失業者は、2009 年1?3 月期に前年同期差6 万人、4?6 月期に23 万人、7?9 月期に29 万人、10?12 月期に9 万人と7?9 月期をピークに増加幅が縮小し、失業期間が6 か月以上1 年未満の完全失業者は、2009 年1?3 月期に前年同期差8 万人、4?6 月期に12 万人、7?9 月期に30万人、10?12 月期に43 万人と、増加傾向にある(付1 ?(1)? 9 表)。完全失業者の増加幅は縮小しているが、今後は、失業期間が長期化するなど失業者が滞留することのないよう、就職の促進を図っていくことが課題である。 (失業に関する指標の動き) 失業の分析に当たっては、失業の深刻度や、非労働力人口の中の潜在的な失業の動向などを検討することも重要である。第1 ?(1)? 15 図により、失業に関する指標をみると、 完全失業率は、2009 年前半に急激に上昇したが、7?9 月期をピークに低下している。非自発的離職失業率及び潜在失業を含む失業率については、完全失業率と同様、2009 年7?9 月期をピークに低下しているが、完全失業率に比べ、低下幅は小さい。また、長期失業率については、低下がみられず、緩やかに上昇を続けている。このように、完全失業率は2009 年後半に低下したが、非自発的失業率や潜在失業を含む失業率の低下は緩やかなものにとどまり、長期失業率については上昇を続けているなど、留意すべき動きがみられる。
3)就業形態別の動向 (正規の職員・従業員以外の割合は15 年ぶりに低下) 第1 ?(1)? 16 図により、雇用形態別の雇用者数の動向をみると、1990 年代半ば以降、 正規の職員・従業員以外の者の数の増加に伴い、正規の職員・従業員の割合は低下し、パート、派遣、契約社員など正規の職員・従業員以外の割合は上昇してきたが、2009 年には派遣社員の減少などの影響により、正規の職員・従業員以外の割合は前年差0.6%ポイント低下の33.4%と15 年ぶりに低下し、正規の職員・従業員の割合は上昇した。2010 年1?3 月期は、正規の職員・従業員以外の割合は前年同期差0.3%ポイント上昇の33.7%となった
(若年層で正規雇用割合が上昇) 第1 ?(1)? 17 図により、男女別、年齢階級別に雇用形態をみると、2009 年は、15?24 歳では、男女とも正規の職員・従業員割合が上昇した。これは、正規の職員・従業員以外の者の減少率が、正規の職員・従業員の減少率に比べ大きかったことによるものである。35?54 歳層では、男女ともに正規の職員・従業員の人数が増加した影響により、正規の職員・従業員割合が上昇した。55 歳以上では、男性は正規の職員・従業員の人数の減少により正規の職員・従業員割合は低下したが、女性は正規の職員・従業員の人数が増加したことにより、正規の職員・従業員割合は上昇した。今回の景気後退では、派遣社員をはじめとした正規の職員・従業員以外の者に比べ、正規の職員・従業員の雇用が相対的に維持されたが、こうしたことが正規の職員・従業員割合の上昇に寄与している
(非正規雇用における不本意就業者の動向) 第1 ?(1)? 18 表により、正社員以外の労働者の仕事に対する意識をみると、正社員と して働ける会社がなかったから正社員以外の就業形態で働いている者の割合が、1999 年の14.0%から、2003 年には25.8%と大きく上昇しており、やむをえず正社員以外の就業形態を選択した不本意な就業者が増加してきたと考えられる。その後、2002 年以降の景気回復過程で雇用情勢も回復したことから、2007年にはその割合は18.9%まで低下した。しかし、派遣労働者や契約社員では、その水準は高い。また、現在は正社員以外の職員・従業員だが、他の就業形態に変わりたいとする者の割合をみると、1999 年の13.5%から2007には30.6%へと大きく上昇している。特に、派遣労働者、契約社員についてはそれぞれ2007 年には51.6%、50.2%となっている。また、他の就業形態に変わりたいとする労働者のうち9 割近くが正社員への就業を希望している。
(雇用形態によって賃金、勤続年数には大きな差) 第1 ?(1)? 19 図により、正社員と正社員以外の賃金カーブをみると、正社員は年齢の 上昇に伴い賃金も上昇しているが、正社員以外では、年齢を重ねても賃金はほとんど上昇していない。また、第1 ?(1)? 20 図により、雇用形態別に平均勤続年数をみると、正社員 は年齢の上昇に伴い、勤続年数も上昇しているが、正社員以外では、勤続年数がほとんど上昇せず、年齢を重ねるに従って正社員との間に勤続年数に開きが生じている。1990 年代半ば以降、非正規の形態で働く人は増加してきたが、その勤続年数は正社員に比べて短く、長期勤続を通じた職務経験の蓄積や職業能力形成が困難となっている状況がうかがえ、その結果、賃金の格差が生じている。 (非正規から正規への転職は困難) 転職入職者数の推移をみると、2006 年の310 万人をピークに低下し、2009 年は284 万人となった。転職入職者のうち前職が非正規雇用の者は、2007 年の180 万人をピークに低下し、2009 年は161 万人となった。さらに、前職が非正規雇用で正規雇用に就いた者は、2005 年の41 万人をピークに、2009 年は34 万人となった。前職が非正規雇用の転職入職者のうち、正規雇用に就いた者の占める割合(正規雇用化率)をみると、2009年には21.1%と低い水準にあり、2005年の23.0%以降低下傾向にある。前述のとおり非正規の職員・従業員のうち正規の職員・従業員への転換を希望している割合が多いにもかかわらず、現状としては非正規から正規に転職入職する労働者数もその割合も低下しているこ とがわかる。 非正規の職員・従業員及びその希望者の推移をみると、15?34歳層では2006年の362 万人をピークに減少し、2009 年には324万人となっている。 また、第1 ?(1)? 23 表により、パート・アルバイト及びその希望者の推移をみると、15?34 歳層では2003 年に217 万人とピークを迎えた後、新規学卒者の就職状況が改善した こともあり徐々に減少し、2008 年には170 万人となったが、2009 年は前年差8 万人増の178万人となった。このうち、15?24 歳層は2009 年に87 万人、25?34 歳層は91 万人で、2003年以降、15?24 歳層で大きく減少したのに対し、25?34 歳層では滞留傾向がみられる。また、35?44歳層は2009年に42万人となり、長期的に増加傾向にある。 なお、若年無業者(15?34 歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者)の推 移をみると、2009 年は63万人と、前年差1万人減となった
4)若年者の雇用失業情勢 (15?24歳層で悪化した完全失業率) 第1 ?(1)? 24 図により、完全失業率の動きを性・年齢階級別にみると、2009 年の完全 失業率は、男女ともに景気後退の影響を受け、全ての年齢層で上昇したが、特に15?24 歳 層で男性が10.1%(前年差2.2%ポイント上昇)、女性が8.4%(同1.5%ポイント上昇)と大き く上昇した。2009 年春の新規学卒者の就職状況が悪化したことも、若年層の完全失業率を 上昇させた一因になっていると考えられる。
(景気変動によって妨げられる新規学卒者の計画的な採用) 2008 年秋以降の経済減速に伴い2009 年春卒業の新規学卒者の就職状況は悪化したが、2010 年春卒業の新規学卒者の就職状況はさらに悪化した。第1 ?(1)? 25 表により、新規学卒者の就職状況をみると、2010年春卒業の新規学卒者の就職率は中学卒で52.0%(前年同期差11.3%ポイント低下)、高校卒で93.9%(同1.7%ポイント低下)、短大生で88.4%(同6.1%ポイント低下)、大学生で91.8%(同3.9%ポイント低下)と悪化している。 第1 ?(1)? 26 図により、景気と新規学卒者の採用状況との相関についてみると、就職 率と企業の雇用人員判断との間には相関がみられ、企業の雇用過剰感が高いときほど、採用される新規学卒者が抑制され、就職率が低下することがわかる。また、高卒新規学卒者の就職状況をみると、1990 年代と比較して2000 年代の方が企業の雇用人員判断に対し、就職率が感応的に動いており、新規学卒者の就職状況は、かつてに比べ、経済情勢悪化の影響を受けやすくなっていることがわかる。 卒業する年の経済情勢によって就職活動が左右されるのは、学生のキャリア形成を考慮す ると好ましいものとは言えない。新規学卒者は、企業の人材確保の手段として主要な役割を果たしていると考えられ、企業が長期的な経営の展望を描くためにもなくてはならない存在である。将来的な展望をもってじっくりと人材を育成し、長期的な目標を達成するために も、短期の経済情勢にとらわれることなく、計画的に新規学卒者を採用していくことが重要 である。
(新規学卒者の求職と採用にみられるミスマッチ) 新規学卒者の求職と採用にみられるミスマッチも大きな問題である。企業規模別に平成 22 年新規学卒採用予定者数の対前年増減区分事業所割合をみると、企業規模が小さい事業所ほど採用予定数を増加ないし維持させようとしていることがわかる。 また、高卒者の職業紹介状況をみると、従業員規模の大きい企 業ほど求人倍率が低く、新規学卒者の大企業志向がみてとることができる。一人ひとりの学 卒者が企業規模にとらわれることなく、自らの適性に照らしつつ職業選択を行うことによ り、実りある就職活動を行うことも大切である。 (引き続き高い若年離職率) 学卒就職者の就職後3 年以内の離職率をみると、1990 年代後半に高まりがみられる。また、2006 年3 月に卒業した者の状況をみると、就職後3 年以内に離職した者の割合が高校卒で44.4%、大学卒で34.2%となっており、いずれも2005 年3 月の卒業した者と比較してその割合は低下したものの、引き続き高い水準にあるといえる。若年層の職場定着は、長期的な視点に立って有能な人材を育成するための第一歩であり、職場定着に向けた取組の強化が求められる。
(生産年齢人口減少の中でますます重要となる若年労働力の確保) 第1 ?(1)? 29 図により、15?24 歳人口の推移をみると、1991 年の1929万人をピークに 減少しており、2009 年は1299 万人となった。15?24 歳人口は今後も低下傾向で推移し、 2019年には1200 万人を割り込む見込みとなっている。また、生産年齢人口(15?64 歳人口)については、1995 年の8726 万人をピークに減少しており、2009 年は8149 万人となった。今後も低下傾向で推移する見込みであるが、減少の度合いは15?24 歳人口の方が小さい。このため、15?24 歳人口比率は2012 年の15.5%を底にわずかながら上昇する見込みである。 高齢化に伴い、技術、技能を有する年長者が引退し、生産活動の中心となる生産年齢人口の減少も進んでいくが、こうした中で、次世代を担う若年労働力の確保は企業にとってますます重要な課題であり、産業社会の持続的な発展のためにも、若年層の職業選択への支援や職場定着などに向け、取組の強化を図ることが重要である。
5)地域の雇用失業情勢 (完全失業率は、2009 年後半から徐々に低下) 第1 ?(1)? 30 図により、地域ブロック別に完全失業率の動向をみると、2009 年平均で はすべての地域で前年を上回った(付1 ?(1)? 14表)。完全失業率の動きを四半期ごとに みると、2009 年前半には多くの地域で大きな上昇がみられたが、2009 年10?12 月期には北関東・甲信、近畿、九州・沖縄を除き完全失業率の低下がみられた。北関東・甲信については2009 年7?9 月期は低下したものの、10?12 月期には上昇しており、近畿については10?12 月期は横ばい、九州・沖縄については、引き続き上昇となっている。また、第1 ?(1) ? 31 図により、地域ブロックごとの有効求人倍率の推移をみると、2009 年平均では全ての 地域で前年を下回り、とくに東海地方で大きな落ち込みとなった。有効求人倍率の動きを四 半期ごとにみると、2009 年前半では全ての地域において有効求人倍率は低下したが、2009年後半に持ち直しの動きがみられ、2009 年10?12 月期には南関東、近畿、四国、九州を除き有効求人倍率は上昇している。
(障害者の実雇用率は上昇) 障害者の雇用状況をみると、雇用されている障害者の数は 2003 年以降増加傾向にあり、2009 年は約33万人となった。また、実雇用率は1.63%であり、前年差0.04 ポイント上昇している。企業規模別にみると、1,000 人以上規模企業では1.83%、500?999人規模企業では1.64%と、全体平均を上回ったが、300?499人規模企業では1.59%、56?99 人規模企業では1.40%、100?299 人規模企業では1.35%と、全体平均を下回った。また、法定雇用率達成企業の割合は、56?99 人規模企業以外の企業で前年より上昇した
7)外国人の雇用状況 (我が国で働く外国人労働者の動向) 2009 年10 月末現在、我が国で働く外国人労働者数は562,818 人となっている。このうち、 労働者派遣・請負事業を行っている事業所で就労する外国人労働者は162,525 人であり、外国人労働者全体の28.9%を占めている。 外国人労働者の割合を産業別にみると、「製造業」が38.9%を占め、次いで「サービス業 (他に分類されないもの)」が13.2%、「宿泊業、飲食サービス業」が11.3%となっており、 製造業で働く外国人労働者が多い
■出典 厚生労働省
平成22年版 労働経済の分析 ?産業社会の変化と雇用・賃金の動向?
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/10/index.html
Name avantistaff : 2010年8月13日 15:25
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